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外壁塗装の耐用年数は?劣化症状や外壁を長持ちさせるコツなどを解説

2025.08.20

● 外壁塗装をしたいが、どの塗料を使えばいいのかわからない
● 外壁塗装にかかる費用を知りたい
● 外壁塗装の耐用年数はどれくらいなのか

家を守る外壁は常に雨風や紫外線にさらされ、劣化しやすい部分です。
劣化を防ぐために外壁塗装がおこなわれていますが、耐用年数が切れると劣化が進みやすくなります。
この記事では、外壁塗装に使われる塗料にはどういったものがあるのか、また耐用年数が過ぎた外壁にあらわれる劣化の症状や施工が必要となる工事などを解説します。

この記事でわかること
● 外壁塗装に使われる塗料の特徴や耐用年数
● 外壁塗装の劣化の症状
● 工事が必要となるケース

はじめに

新築のときと比べ外の色合いが変わってしまったと感じたら、そろそろ塗り替えの時期です。
外壁は紫外線や風雨から家を守ってくれる存在ですが、厳しい自然環境にさらされつづけています。

そのため気付かないうちに劣化は進んでいて、耐久性や耐候性などの機能は少しずつ低下しています。
快適な生活を送るうえで、外壁塗装は私たちが思う以上に重要なポイントです。

外壁塗装の耐用年数はどれくらい?塗料の種類ごとに詳しく解説!

外壁塗装に用いる塗料にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や耐用年数、費用が異なります。
ここではシリコン塗料やフッ素塗料、無機塗料、そしてラジカル制御型塗料の4種類を紹介します。

シリコン・ラジカル・フッ素・無機塗料|耐久性とコストの違いを比較

外壁塗装で使われる塗料は、おもにシリコン・フッ素・無機塗料です。
これらは主成分の違いにより分類されていますが、耐久性などそれぞれの特徴やコストも異なります。

シリコン塗料

シリコン塗料は、主原料にシリコン樹脂を使っている塗料の総称で、外壁塗装では定番の塗料です。
耐用年数は7〜15年で、光沢が長期間維持でき、紫外線や風雨にも強い点が特徴です。

シリコン塗料は、水で希釈する水性系とシンナーで希釈する油性系、硬化剤配合の1液型と塗料と硬化剤を職人が混合して使う2液型に分類できます。
費用は1㎡あたり2,300〜3,500円ほどで、コストパフォーマンスを重視する方におすすめです。

フッ素塗料

フッ素塗料は蛍石から採取できるフッ素を主原料とした、外壁塗装で使われる塗料のなかではグレードの高い塗料です。
耐用年数は15〜20年で、光沢が長期間保てる点と紫外線と酸性雨に強い点が特徴となっています。

費用は、1㎡あたり3,000〜5,000円で、自然環境の影響を受けやすい地域の方や長期的なメンテナンスコストを抑えたい方に最適です。

無機塗料

無機塗料は、ケイ素やセラミックなど無機物を主成分とした塗料です。
無機物は紫外線に強く、劣化しにくい特徴があるため、他の塗料よりも高い対候性を持っています。

耐用年数は20〜25年と長く、カビやコケにも強いため長期にわたり外壁の美観を維持できます。
費用は1㎡あたり5,000〜5,500円ほどで、美観を長期的に維持したい方やメンテナンスの回数を減らしたい方におすすめです。

種類 主原料 耐用年数 1㎡あたりの費用
シリコン塗料 シリコン樹脂 7~15 年 2,300円~3,500円
ラジカル塗料 高耐候酸化チタン 11~16 年 3,000~4,000円
フッ素塗料 フッ素 15~20 年 3,000~5,000円
無機塗料 セラミック 20~25 年 5,000~5,500円

ラジカル制御型塗料の特徴と外壁塗装での耐用年数目安は?

最近、注目されているのが「ラジカル制御型塗料」です。
どのような特徴があるのか、耐用年数はどうなのかをチェックしておきましょう。

ラジカル制御型塗料とは

外壁塗装業界でいうラジカルとは、樹脂や有機顔料などの有機物を劣化させるエネルギーを意味しています。
通常の塗料は、調色で用いる白色顔料(酸化チタン)に紫外線が当たるとラジカルが発生し、塗料の劣化を加速させます。
酸化チタンはホワイト系など淡彩色を調色する際に欠かせない顔料で、下地の色を隠す力を高めてくれるものです。

劣化を示す代表的な症状がチョーキング現象で、手で触れるとチョークの粉のような物質が付着します。
調色のために酸化チタンは欠かせませんが、それにより劣化が早まる心配があり、このジレンマを解消するために開発されたのが、ラジカル制御型塗料です。

ラジカル制御型塗料の特徴

ラジカル制御型塗料とは、ラジカル制御型チタンと光安定剤を使用した塗料を指し、チョーキング現象の抑制に効果があります。
ラジカル制御型チタンとは、発生したラジカルをバリアー層で閉じ込める仕組みを持つ酸化チタンで、塗料の耐候性を高めてくれるのが特徴です。

光安定剤はラジカルが漏れ出したときにそれをキャッチして熱へ変換し、色あせや機械的強度が低下するのを防ぎます。
従来の塗料では劣化の進行を食い止めるのが難しく、塗膜の寿命が短いのが課題でした。

しかしラジカル制御型塗料は、ラジカル制御型チタンや光安定剤などのラジカル制御技術により塗膜の劣化を防ぎ、従来の塗料と比べ耐久性が高いのがメリットです。
紫外線に強いため、屋根塗装にも向いている塗料で、外壁塗装とあわせておこないたい方におすすめの塗料です。

ラジカル制御型塗料の耐用年数と費用

ラジカル制御型塗料の耐用年数は11〜16年程で、シリコン塗料よりは長い期間、塗膜が保たれます。

しかし、まだ新しい塗料であるため、施工された実績も少なく、耐用年数はメーカーの試験で得られた目安として捉えておく必要があります。
費用は1㎡あたり3,000~4,000円です。

「外壁塗装は30年もつ」って本当?塗料業者が語る実際の寿命

外壁塗装の耐用年数は塗料により異なりますが、すでに紹介したとおり、短いもので7年程度、長くても25年ほどです。
もちろんこの先、耐用年数の長い塗料が開発される可能性もありますが、現在の段階では30年の耐用年数を持つ塗料は少ないと考えていいでしょう。

メーカーが示す塗料耐久性と実際の住宅で異なる理由と原因

メーカーが示す塗料の耐久年数は、実験室のなかでの試験結果や、管理下に置かれた環境で得られたデータをもとにして定めた数値です。
試験をおこなうメーカーによって試験内容や環境は異なるため、同じ塗料であっても耐用年数にばらつきがでるのは仕方ありません。

一方で、外壁塗装の耐用年数は建物の法定耐用年数と同じであるとみなされており、例えば鉄筋コンクリート造では47年、木造で22年となります。
しかし、実際にこれらの数値どおりになるケースは少なく、メーカーが示す耐用年数との間に少なからず差が出てしまいます。
ではなぜ差が出てくるのか、その理由を見ていきましょう。

施工品質

外壁塗装は職人の手によりおこなわれるもので、職人の技術で品質が大きく左右されます。
施工品質がよくない場合は、塗膜の耐久性が保てず耐用年数も短くなるケースがあります。

環境条件

管理された実験室のなかと、風雨や気温差が激しい地域でとったデータでは耐用年数に差が出るのは当然といえるでしょう。
紫外線や風雨、気温や湿度、また地域によっても塗装の寿命は異なり、例えば台風の多い地域では塗料の劣化は早くなります。

メンテナンス

外壁には汚れの他にカビが付着し、これが塗料の寿命を早めるケースがあります。
汚れやカビの除去を定期的におこなっていると、耐用年数を延ばせる可能性が高くなり、逆にケアをおこたっていると寿命を縮める可能性は高くなるでしょう。

耐用年数が過ぎた場合の外壁に起きる劣化症状

耐用年数が過ぎると、外壁に劣化の症状が表れてきます。
ここでは、おもな劣化症状を5つ紹介していきます。

色あせと変色

色あせと変色は、外壁の劣化の初期段階で起こる症状で、築3年ほどで表れ始めます。
これらは紫外線の影響によるもので、塗膜を保護する樹脂の劣化がきっかけとなり、弱くなった塗膜は内側の塗料の劣化にもつながっていくため、全体的に劣化が進みます。

チョーキング現象

外壁の表面にチョークの粉のように白い粉が浮き出てくる現象で、症状が出始めるのは築6年ほどからです。
指先で外壁をなでたときに、白い粉が付着したらチョーキング現象が起こっていると考えていいでしょう。

塗膜の劣化によって表面が粉状になる症状で、防水機能が喪失してしまうため、早めの塗り替えが必要です。

カビやサビなどの発生

チョーキング現象をそのまま放置しておくと外壁の防水効果が失われ、カビやサビ、またコケの発生につながっていきます。
コケが生えると外壁が常に湿っている状態となり、カビの発生や金属部分もサビ付きを起こしやすく、外壁全体の腐食が進む危険性があるため、早急な対応が必要です。

ひび割れ

ひび割れはクラックとも呼ばれるもので、築7年くらいから発生しやすくなります。
また、地震や大型車の通行などによる慢性的な振動によっても発生するケースがあります。
幅が0.3mm未満であれば、しばらくの間は経過観察でも構いませんが、0.3mm以上のひび割れは構造部分に問題がある可能性もあるため補修を検討しなければいけません。

剥がれ

塗料の剥がれは、築10年を経過したころから始まります。
多くの場合、ひび割れの部分から広がっていき、塗料が剥がれたり浮いたりするのが目立ってきます。

広い範囲で剥がれや浮きが起こってくると、そこから雨水が入り込み下地にダメージを与え、雨漏りの原因ともなりかねず、こちらも早々の補修が必須です。

外壁塗装の耐用年数が切れたら?施工が必要になる工事と費用相場

外壁塗装の耐用年数が切れると、劣化が進みやすくなり建物の構造部分もダメージを受けやすくなるため、新たに外壁塗装を施す必要があります。
また、劣化具合によっては、大掛かりな工事が必要となるケースもあります。

ひび割れ・クラックなどの補修工事に必要な費用と施工期間

外壁に発生したひび割れは、モルタルで補修するのが一般的で、費用相場は1か所あたり1万〜10万円です。
その際、雨漏りしているかどうかで工事の方法が変わってくるため、まずは現地調査を依頼してください。

ひび割れの補修費以外にも、外壁塗装をする場合は塗料代や汚れ落とし、足場代などがかかります。
30坪の家で、塗装面積が約120㎡の場合、60〜100万円ほどです。
工期はまず契約から着工までに約2か月となるのが一般的で、着工してから工事が終わり引き渡しがおこなわれるまでは2週間を目安にするといいでしょう。

ただ施工業者の休みや天候の影響があるため、実際はそれ以上かかってしまいます。

シーリング材の劣化で起きる問題とは?耐用年数と対策方法

シーリングは外壁材同士に生じる隙間を埋めるために使用されるゴム状の材料です。
シーリングは隙間を埋めて、雨水の浸入を防ぐ役割を持っていますが、劣化が進むとひび割れが発生し、防水機能が失われてしまいます。
ひび割れたシーリング部分から雨水が入り込むと、カビやコケの発生、また構造部分を腐食させる危険性もあり、耐久性に問題が出る恐れがあります。

シーリング部分はひび割れの前兆として硬化が起こるため、指で触って硬いと感じたら危険信号と思ってください。
シーリングの耐用年数は一般的には5〜10年といわれ、5年を過ぎたあたりから定期的にチェックしておく必要があるでしょう。

シーリング材の劣化が認められたときの対策方法には、既存のシーリング材を取り除き、新たにシーリング材を注入する打ち替えがおすすめです。
既存のシーリング材を除去せず、そのうえから新しいシーリング材を注入する増し打ちもありますが、古いシーリングと新しいシーリングが馴染まないケースもありおすすめできません。

外壁塗装の耐用年数を長くするための重要なセルフメンテナンス

外壁塗装の耐用年数を長くするには、セルフメンテナンスが欠かせません。
ここでは、簡単にできる防水・汚れ防止のコツを紹介します。

まず、外壁は常に雨風にさらされているため、土埃や排気ガスの粉じんなどで汚れやすくなっています。
汚れを放置せず、こまめに水洗いして汚れを取り除くと防水機能や防汚機能の劣化の進行を遅らせられ、耐用年数も長くなるでしょう。

掃除にはブラシを使うと効果的ですが、強くこすりすぎると外壁に傷が入り、そこからコケやカビが広がりやすくなるため、なるべく優しく洗うのがコツです。
コケやカビは外壁に大きなダメージを与えるため、見つけたらすぐに洗い流さなければいけません。

ただ土埃や排気ガスのようにすぐに落ちるわけではなく、跡が残る可能性もあるため、洗剤や高圧洗浄機を使って慎重におこなってください。
ただ、外壁にひび割れがある場合、高圧洗浄機を使うと内部に水が入り込んでしまうため、メンテナンスの前には異常がないか確認をおこないましょう。

まとめ

外壁塗装の耐用年数は、使用している塗料の種類によって異なります。
しかし、メーカーが提示する耐用年数と実際の耐用年数には環境の違いなどを理由に差があるのは仕方がなく、その点は理解して使用しなければいけません。
外壁塗装の耐用年数が切れたら、剥がれや浮き、ひび割れなどが発生しやすくなり、建物にダメージを与えてしまいます。

とくにひび割れやシーリングの劣化は建物に与える影響が大きいため、早めの補修を検討しましょう。

石井聡

記事の監修者

石井イノベーションサービス 株式会社

代表取締役 石井 聡

2008年に石井イノベーションサービス 株式会社設立。
市原市・袖ケ浦市を中心に外壁・屋根工事業を展開し、月10件、年間150件以上の実績を重ねる地域密着型の専門家。
青葉台、姉崎地区、有秋地区、桜台地区、泉台地区、千種地区など、地元密着で活動しており、「お客様第一」のモットーのもと、質の高い提案・施工を追求。
現場経験に基づくリアルな視点と、地域の暮らしを支える実績を活かし、コンテンツの信頼性向上に貢献しています。
お客様の安心と満足を10年先、20年先まで支えることを使命とし、社員とともに挑戦を続けています。