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屋根の葺き替え工事の種類とは?屋根材の特徴や選び方などを解説

2025.11.14

● 屋根の葺き替え工事をしたいがどういった屋根材があるのか?
● 葺き替え工事にかかる費用の目安はどのくらいか?
● 火災保険の適用の可否や業者選びのコツをしりたい

屋根は家屋を守ってくれる大切な箇所です。
劣化した屋根は葺き替え工事で性能がよみがえります。
ただ屋根に使う素材の特徴や費用、工事の流れなど初めての経験でわからない方は多いでしょう。

この記事では葺き替え工事をする際に知っておきたい屋根材の種類や特徴、費用や流れ、また業者選びのポイントなどを解説していきます。

この記事でわかること
● 屋根材の種類と特徴
● 屋根の葺き替え工事にかかる費用相場
● 業者選びのポイント

はじめに:屋根の「葺き替え工事」とは?基礎知識を解説

屋根の葺き替え工事への疑問や不安は誰もが持っているでしょう。
本記事はその疑問や不安が解消できるよう、項目ごとでそれぞれ解説していきます。
葺き替え工事の基礎知識と費用相場、工事の流れ、業者選びのポイントなど参考になれば幸いです。

屋根の葺き替え工事とは?

葺き替えとは葺いている屋根材をすべて取り除いて、新たな屋根材で屋根を覆う作業で、下地処理の工程も含め、屋根を丸ごと新しくする工事内容となります。
一方、カバー工法は重ね葺きとも呼ばれるもので、古い屋根はそのままで、上から新しい屋根を重ねて覆っていく方法です。

葺き替えが必要となるのは築年数が古い、メンテナンスを一度もおこなっていないなどの家屋で、屋根材の剥がれや傷み、雨漏りがあれば早急な検討が必要です。

葺き替え工事の一般的な流れと期間

屋根の葺き替え工事の相談を受けると、まずおこなうのが現地調査で、調査結果から屋根の状況を診断して工事の見積りが作成されます。

その後着工となり、工事は足場の設置から始まり養生、屋根材の撤去と下地の補修、そして防水シートを含めた新しい屋根材の設置の流れです。
工事が完了すれば全体をこまかく点検し、画像などを添付した報告書と照らし合わせながら現場を確認して、双方が納得のうえで引き渡しとなります。

葺き替え工事の日数は、屋根の大きさや高さ、形状によって変わりますが、7~10日を目安にするといいでしょう。

「屋根 葺き替え工事 種類」を知る重要性

屋根の葺き替えは、屋根材の選び方が重要で、化粧スレートや日本瓦、金属屋根などいくつかある種類のなかから予算や見た目、特徴などを比較して選びましょう。
屋根は家屋を雨風から守る役割を持つ重要な部分です。

選ぶ際は慎重に慎重を重ねた検討をおすすめします。

屋根葺き替え工事で選べる!主要な屋根材の種類と特徴を徹底比較

屋根の葺き替え工事をする際、まずは屋根材を選ぶところから始めなければいけません。
ここでは主要な屋根材の種類と特徴を解説していきます。

化粧スレート(コロニアル、カラーベストなど)

化粧スレートは、それまでの瓦にかわって普及してきた屋根材で、デザインがシンプルで軽量である点が特徴です。
取り扱っている会社も多く工事費も安価である点も、広く普及している理由でしょう。
種類には平板・厚型・波型の3つがあります。

平型は戸建て住宅で人気がある屋根材で、厚さが5mmほどと薄くさらに軽量であるため、耐震性に優れています。
コロニアルやカラーベストで検索するといいでしょう。
厚型スレートは厚みのある化粧スレートで、日本瓦よりも軽量で安い点が魅力です。
モニエル瓦やセキスイUなどの商品がありますが、現在は製造していません。

波型スレートは文字どおり波型の形状を持つ化粧スレートです。
工場や倉庫に使われ、耐久性や耐火性に優れた屋根材です。
種類は大波・中波・小波があり波が高く大波になるほど耐久性が優れ、価格も高くなります。

化粧スレートのメリットはカラーバリエーションの豊富さや工費が安い点、耐震性の高さなどがあります。
ただ劣化しやすく割れやすいため、定期的な点検やメンテナンスが必要になる点には注意が必要です。

日本瓦(粘土瓦)

日本瓦の素材は粘土で、1000度以上の高温で焼き上げて作られます。
そのため耐久性は50年以上と高く、厳しい気候でも耐えられるため、古くから日本家屋などを中心に取り入れられてきました。

メリットは塗装メンテナンスが不要な点で、メンテナンスの手間や費用が抑えられます。
日本瓦は職人が1枚ずつ作り上げていくもので、他の屋根材と比べ初期費用は高くなります。

また重量がある分、耐震性に影響が出る点や陶器なだけに割れやすい点も注意しておかなければいけません。

セメント瓦・モニエル瓦(洋風コンクリート)

セメント瓦は、セメントと砂を混ぜ合わせて作った屋根材です。

それまでの陶器の瓦よりも安価で設置できるため戸建てで普及した瓦ですが、現在は製造されていません。
型枠に流し込んで作るため、色やデザインが豊富な点が特徴で、瓦に似せたものも人気でした。

メリットは耐久年数が30~40年と優れている点と素材がセメントであるため耐火性も高い点です。
ただ衝撃に弱く割れやすい点には注意が必要で、塗りなおしなど定期的なメンテナンスも欠かせません。

金属屋根(ガルバリウム鋼板、SGL鋼板など)

金属屋根は他の屋根材と違った質感を持ち、とくにデザイン性の高い住宅に合う素材です。

メリットは、屋根が軽くなるため耐震性の向上が期待できる点や、施工時に隙間ができにくく雨漏りしにくい点などがあります。
ただ軽い素材のため強風にあおられてめくれる危険性があり、また薄い分、振動や音、熱が室内に伝わりやすくサビ対策も欠かせません。

金属屋根で人気なのがガルバリウム鋼板で、鉄に亜鉛とアルミニウムで作られたガルバリウムメッキを施した屋根材です。
SGL鋼板も近年人気が高まっている屋根材で、亜鉛・アルミ・マグネシウムで作ったSGLでメッキした鋼板となります。

アスファルトシングル

アスファルトシングルは、ガラス繊維とアスファルトが主成分の屋根材で、シングルとも呼ばれます。

シート状になっているため、折り曲げて用いるのも可能で、加工がしやすくデザイン性も高いのが特徴です。
また軽量で家屋の耐震性に影響を及ぼさない点や防音性・防水性に優れている点がメリットでしょう。

ただ強風に比較的弱く、カビやコケが生えやすい性質もあります。
アメリカでは多く使用されていますが、日本での普及率はまだ低く、施工できる会社も少ないため、施工会社を選ぶ際には少し手間取る可能性もあります。

屋根材の種類別!葺き替え工事の費用相場と耐用年数

屋根材を選ぶとき、素材だけでなく予算も考えておかなければいけません。
この章では屋根の葺き替えにかかる費用と耐用年数を、屋根材の種類別にまとめています。

種類別 1㎡あたりの費用相場と総額目安

スレートの場合、1㎡あたりの費用相場は4,000~8,000円です。

日本瓦で、1㎡あたり5,500~15,000円となり、ガルバリウム鋼板では同じく5,000~9,000円です。
ここに既存屋根の撤去作業と処分にかかった費用3,000~6,000円/㎡や、下地補修に2,000~4,000円/㎡、防水シートや足場の設置費用が1,100~3,000円/㎡が加算されます。
さらに下地にアスベストが使われている場合は、特殊な撤去作業と処分が必要なため、1㎡あたり5,000~7,000円と費用が高額になります。

屋根材以外の費用の総額は6,600~12,500円/㎡、これをアスベストなしの100㎡の家屋で計算すると66万円から125万円です。
これに屋根材の費用を上乗せすると、スレートで106万円~205万円、日本瓦で121万円~275万円、ガルバリウム鋼板で116万円~215万円の総額となります。

屋根材の種類 スレート 日本瓦 ガルバリウム鋼板
葺き替えの総額 1,060,000〜2,050,000万円 1,210,000〜2,750,000万円 1,160,000〜2,150,000万円

種類別の耐用年数とメンテナンスサイクル

次に屋根材の種類別の耐用年数およびメンテナンスサイクルをみていきましょう。

まずスレート屋根の耐用年数は20~30年で、メンテナンスサイクルは5~10年です。
日本瓦の耐用年数は30年から上質なもので100年、メンテナンスサイクルは15~30年とみておきましょう。

ガルバリウム鋼板の場合、耐用年数は30~50年でメンテナンスサイクルは15~30年です。

屋根材の種類 スレート 日本瓦 ガルバリウム鋼板
耐用年数 20〜30年 30〜100年 30〜50年
メンテナンスサイクル 5〜10年 15〜30年 15〜30年

費用を左右するその他の要素

屋根の葺き替え工事の費用は、屋根の㎡数だけでなく、いくつかの要素によっても変動するケースがあります。
シンプルな切妻屋根と比べ、複雑なデザインで勾配も急な屋根の場合、作業が難しく危険もともなうため追加の費用がかかりやすくなります。

また既存の屋根材の撤去費用も、アスベストを含んでいる場合は特殊な作業と処分方法が必要で、費用も高額になる傾向です。

他にも足場を組む際、隣家との距離が近く足場が組みにくいなどの場合、作業が難しく工期も延びる可能性があり、こちらも費用面で高くなりやすいでしょう。

4. 失敗しない!最適な屋根材の種類を選ぶための判断基準

屋根や常に風雨や紫外線など過酷な環境にさらされています。
屋根材を選ぶ際は、予算やデザインの他に、気候条件や災害リスクなども考慮しなければいけません。

ここでは最適な屋根材の種類を選ぶための判断基準を解説していきます。

判断基準1:建物の構造と耐震性

木造住宅は鉄骨造やRC造と比べ耐震性能が劣るため、屋根材は軽い素材のものにして耐震性を確保しておく必要があります。
これまで重い瓦屋根を葺いていた家屋をリフォームするなら、ガルバリウム鋼板やスレートなど軽い素材にして、耐震性を向上させておくといいでしょう。

判断基準2:地域の気候条件

積雪のある地域では、1mの雪が屋根に積もっただけでも、屋根全体で数十トンの荷重がかかるといわれます。
そのため屋根全体の重さを軽くしておく必要があり、屋根材は重量の軽いガルバリウム鋼板など金属屋根が適しています。

沿岸部など塩害が発生しやすい地域では、SGL鋼板やガルバリウム鋼板など錆に強い屋根材がおすすめで、とくにSGL鋼板はガルバリウム鋼板の約3倍の耐食性を持っています。

風が強い地域では、屋根が飛ばされてしまう心配があり、軽い素材のものは剥がれる危険性もあるでしょう。
重量のある日本瓦もほとんどが固定されていないため、風速25m以上になると飛ばされる可能性があります。
そのため強風地域では、瓦同士をかみ合わせたロック構造やビスで一枚ずつ止めて固定する防災瓦を使用すると安全です。

判断基準3:予算と将来的なメンテナンス計画

初期費用とメンテナンスコストのどちらに比重をおくかで屋根材の選び方は変わってきます。
スレートやアスファルトシングルなど安価な屋根材を選べば、初期費用は抑えられますが、

これらの素材は耐用年数が短く耐久性も低いためこまめな補修や塗装が必要です。
つまり長期的にみると、メンテナンス回数が多くなり、費用もかさんでいきます。

一方、陶器の日本瓦やガルバリウム鋼板は価格は高くなりますが、耐久性が高く耐用年数も長くなり、メンテナンスの回数も少なくなります。

とりあえず安く済ませたいのか、多少高くても長期的な安心感を得たいのかにより屋根材選びは変わってくるでしょう。

判断基準4:デザインと景観

屋根のデザインは建物の外観や印象を決めるだけではなく、暮らしの快適さや安全性にも関係してくる要素です。
屋根の形状や素材は断熱性・遮音性に影響を及ぼし、暮らしやすさに直結してきます。

また屋根本来の役割である家屋を日差しや風雨から守るためには、しっかりした構造の屋根にする必要があり、安心・安全な暮らしには欠かせない要素です。

デザインは家屋の印象を決める重要な要素で、勾配が緩やかな屋根は落ち着いたイメージ、急な勾配の屋根はモダンなイメージがあります。
ただ街並みの統一感への意識も必要で、近隣住宅やその街一体の調和も考えたデザインにするのも大切です。

火災保険・業者選びのポイント:葺き替え工事をスムーズに進めるために

葺き替え工事をする際は、火災保険の適用可否や業者選びも重要なポイントです。
ここでは、どのようなケースに火災保険が適用されるのか、また信頼できる業者の選び方をまとめました。

火災保険の適用可否について

屋根の葺き替え工事をするとき、火災保険が適用となる要件は次のとおりです。

まず自然災害による被害で、さらにその被害が3年以内のものかどうか、この2点となります。
つまり経年劣化による屋根の不具合に関しては火災保険適用の対象外です。

火災保険の対象となる災害例

火災 自宅から発生した火災
近隣からの延焼も補償対象
落雷 落雷を原因とする被災や火災
爆発・破裂 ガス漏れなどが原因の爆発・破裂
また火災に発展した場合の補償
風災 台風・暴風・強風での被害
風による飛来物で受けた損害も補償対象
電災 電による被災
雪災 積雪や雪崩などの雪による被害・被災
水災 床上浸水・洪水による被災
豪雨などが原因の土砂崩れも補償対象

信頼できる業者の見極め方

信頼できる業者の選び方のポイントにまず実績があります。
施工実績が多いと、技術力や知識が蓄えられていくうえ、請け負った工事の種類も豊富なため、現場で発生した問題への対応もスムーズでしょう。

屋根の葺き替えには、じつは特別な資格は必要ではなく、逆に資格や許可を持っていればその会社は優良業者であるともいえます。
資格であれば建築施工管理技士、許可であれば建設業許可証、この2点を有する会社は技術力が高く安全性も重視している会社である可能性が高いでしょう。

他にも相見積りによる業者選びの方法もあります。
相見積りは悪徳業者の見極めに役立ちます。

見積りをみるときは価格の比較だけでなく、内訳が詳しく記載されているかどうか、曖昧な部分はないかなど、こまかなところまで確認して信頼できる業者を選びましょう。

まとめ:ご自宅に最適な屋根材の種類で快適な暮らしを

屋根は家屋を風雨などから守ってくれる大切な箇所です。
葺き替え工事をするときは、屋根材の特徴や費用、気候条件、耐震性も考慮したうえで検討しましょう。

工事の依頼は信頼できる業者選びが重要です。
施工実績や資格・許可の有無、相見積りなどをみて選ぶといいでしょう。

石井聡

記事の監修者

石井イノベーションサービス 株式会社

代表取締役 石井 聡

2008年に石井イノベーションサービス 株式会社設立。
市原市・袖ケ浦市を中心に外壁・屋根工事業を展開し、月10件、年間150件以上の実績を重ねる地域密着型の専門家。
青葉台、姉崎地区、有秋地区、桜台地区、泉台地区、千種地区など、地元密着で活動しており、「お客様第一」のモットーのもと、質の高い提案・施工を追求。
現場経験に基づくリアルな視点と、地域の暮らしを支える実績を活かし、コンテンツの信頼性向上に貢献しています。
お客様の安心と満足を10年先、20年先まで支えることを使命とし、社員とともに挑戦を続けています。