屋根の葺き替え工事ガイド|費用・工事の流れ・注意点とメンテナンス
● 費用がどれくらいかかるのか想像もつかず不安
● 本当に葺き替えまでしないといけないの?
● 工期はどれくらい?生活への影響も気になる
屋根は住まいを守る大切な住宅の一部です。
雨風や紫外線にさらされ続ける屋根は、定期的なメンテナンスが欠かせません。
なかでも屋根の葺き替え工事は家の寿命を延ばす大切なリフォーム工事です。
本記事では、費用相場や工事の流れ、注意点まで解説します。
この記事でわかること
● 葺き替え工事の基礎知識と他の工法との違い
● 葺き替え工事の費用相場と費用を抑えるコツ
● 工事の流れや注意点、工事後のメンテナンス方法
はじめに
屋根は、雨や風・強い日差しから私たちの生活を守る大切な存在ですが、長期間さらされ続けた結果、劣化や損傷は避けられません。
また日本は台風や地震などの自然災害が多いため、屋根の劣化は住宅の寿命や快適さに直結します。
そのため、定期的な点検やメンテナンスをおこない、必要に応じて葺き替え工事の検討が必要です。
本記事では、葺き替え工事の基本知識から費用相場、工事の流れや注意点、さらに工事後のメンテナンス方法までを解説します。
これから屋根工事を検討している方にとって、失敗しない判断材料となるよう、ポイントを丁寧にまとめました。
大切な住まいを長く守るために、ぜひ参考にしてください。
屋根の葺き替え工事とは?
屋根のリフォームにはさまざまな方法がありますが、屋根全体を新しくする大規模な工事が葺き替えです。
既存の屋根材だけでなく下地部分も一新し、耐久性や防水性能を根本から向上させます。
ここでは、葺き替え工事の具体的な定義や、他の工法との違い、工事をおこなう主な理由を順に解説していくので参考にしてください。
葺き替え工事の定義:屋根材と下地をすべて新しくする工事
葺き替え工事は、屋根材が経年劣化してひび割れや欠損が見られる場合や、雨漏りが発生している場合におこないます。
表面の屋根材を交換するだけでなく、雨漏りや腐食が進んでいる下地も補修するため、住宅全体の耐久性を大きく向上します。
また屋根の軽量化や耐震性向上、断熱性能アップを目的とした大規模リフォームでおこなわれるケースもあり、費用や工期は他の工法より高くなるのが特徴です。
住宅の寿命や安全性を長期的に守るために必要な工事といえるでしょう。
葺き替え工事と他の工法(屋根カバー工法・屋根塗装)との違い
屋根カバー工法は、既存の屋根材の上から新しい屋根材をかぶせる工事です。
撤去費用がかからず、工期や費用を抑えられる点がメリットで、防水シートが既存のものと合わせて2重になるため雨漏れのリスクが格段と減ります。ただし著しく劣化した下地があった場合は現場調査時の段階では直接確認できないため、作業中に部分的な下地補修・補強が必要になる場合があり追加工事がかかる可能性があるのがデメリットです。
また、屋根が二重になるため重量が増し、耐震性への影響が懸念されます。
屋根塗装は防水性を高め美観を回復させるだけでなく、雨漏り修理や予防にも効果的な工事です。
ひび割れやコケ・カビなど、屋根材や下地にまで大きな影響がない場合には効果的で、比較的安価で短期間に施工できます。
ただし、雨漏れしている屋根には塗装だけでは止まりませんので雨漏れカ所の補修補強を行ってから塗装をすると良いでしょう。
葺き替え工事をおこなう理由
屋根の劣化が進み、部分補修や屋根塗装では対応できない場合に選ばれるのが、葺き替え工事です。
台風による飛来物で屋根材が割れたり、ひびが入ったりすると、雨水が入り込んで雨漏りが発生します。
長期間、雨漏りを放置すると屋根の下地まで傷んでしまい、先ほどお伝えした通り塗装などの表面的な補修では根本的な解決ができません。
建物内部の構造材や断熱材にまで被害がおよび、修繕費用がさらに膨らむリスクがあるため、葺き替え工事がおすすめです。
また住宅リフォームの一部として、耐震性や断熱性を高める目的で葺き替えを選ぶ方も増えています。
瓦屋根の場合は金属屋根などの軽量な素材に替えると、建物全体の重心が下がり、地震時の揺れに強くなる効果が期待できます。
室内環境の改善や光熱費の削減のために選ぶなど、暮らしをより安心で快適にするリフォームとしてもおこなわれるようになりました。
知っておきたい!屋根の葺き替え工事の費用相場と内訳
屋根の葺き替え工事は大規模リフォームであるため、費用がどのくらいかかるのか気になる方も多いでしょう。
ここでは30坪の住宅を例にした費用相場や、見積りの内訳、屋根材ごとの違い、さらに費用を抑えるための工夫について解説します。
30坪の住宅を例にした葺き替え工事の費用相場
葺き替え工事の費用は、住宅の大きさや屋根材の種類、工事範囲によって大きく変わります。
スレート屋根の場合、足場設置費や屋根材費などを含め、総額で110万〜200万円前後が一般的です。
屋根の形状や勾配が急であれば、足場の組み方や量が異なるため、費用は高くなる傾向にあります。
この他に、雨樋交換や断熱材補修、防水シートの追加などオプションを加えると、総額が上がる場合もあります。
葺き替えを検討する際は、まず自宅の屋根の状況を診断してもらい、複数社から見積りを取り比較するのが重要です。
また千葉県市原市では瓦屋根の工事の補助金も用意しております。
市原市耐震改修工事助成制度を利用すれば費用負担を軽減するのも可能になります。
見積りの内訳を徹底解説(足場代、既存屋根材の撤去・処分費、新屋根材費、雨樋の交換)
工事中の安全を確保するために必須の足場代金は、住宅規模や周囲の状況によって異なりますが15万〜30万円程度です。
屋根材の撤去や処分費は、瓦やスレート、屋根材の種類や重量によって異なりますが、スレート屋根の場合は3,000円/㎡、瓦の場合は3,500〜5,000円/㎡程度が目安になります。
屋根材費は材質などによって価格差があり、スレートなら4,000〜8,000円/㎡、瓦なら5,500〜15,000円/㎡ が目安です。
雨樋の交換 や断熱材、防水シートの追加などオプション工事も費用に含まれるため、見積書に各項目が明確に記載されているかをチェックします。
内訳が正確に分かりやすく記載されていれば、費用の妥当性を判断しやすく、安心して任せられる業者選びのポイントになります。
既存の屋根材別で見る費用目安(瓦屋根、スレート屋根、金属屋根など)
瓦屋根は重く耐久性が高いため、50年以上持つ場合もありますが、撤去・処分費や新しい瓦の費用が心配です。
千葉県市原市では瓦屋根を軽量素材や防災瓦にする工事などの補助金を用意しています。
条件はありますが、市原市瓦屋根耐風改修促進事業補助金制度では瓦屋根の葺き替え工事にかかる費用×23%もしくは対象となる瓦屋根の面積(㎡)×24000円を負担してくれます。(いずれか少ないほうの額、上限55万2千円)
一般的な30坪の住宅では150万円〜200万円前後、軽量で施工性が高いスレート屋根は100万〜150万円前後で耐久年数は20〜30年程度です。
ガルバリウム鋼板などの金属屋根は軽量で、30坪の住宅での葺き替え費用は130万〜200万円前後が目安になります。
葺き替え工事費用を抑えるポイント
費用を抑えるためには、複数の業者から相見積りを取るのが重要です。
業者ごとに工事価格や材料費、人件費が異なるため、比較し無駄な費用を抑えます。
屋根材の選定も費用を左右するポイントなため、耐久性や性能を考慮しつつ、軽量で施工性の高い材料を選びましょう。
また、外装塗装と同時に施工すれば足場代金を1回で済ませられるため、費用を抑えられます。
さらに、繁忙期を避ければ業者のスケジュール調整がしやすく、場合によっては割引を受けられる場合もあります。
自治体によっては屋根リフォームの補助制度があるため、対象となるのか事前に確認してみてください。
安心して進める!屋根の葺き替え工事の流れ
葺き替え工事は大規模なリフォームのため、工事の流れや工程を事前に把握しておくと安心につながります。
ここでは工事前の準備から各工程、工期や天候による遅延リスクまで、ステップごとに解説します。
工事前の準備(近隣への挨拶など)
葺き替え工事をスムーズに進めるためには、工事前の準備が重要です。
近隣への挨拶をおこない、工事期間中に発生する騒音や振動、粉塵の飛散、車両の出入りについて理解をしていただきましょう。
工事期間や開始・終了時間、休日の工事についてなども、チラシを利用し説明するとトラブルを未然に防ぎ、安心して工事を進められます。
また屋根材や足場の搬入・設置のために駐車スペースの確保や、庭やベランダの物を一時的に移動するなど、施工スペースを整えておきましょう。重たいものなどは業者と相談して動かしてもらうなどの事前の対応が必要になります。
工事の全工程をステップごとに解説(足場設置、既存屋根の撤去、下地補修、コンパネ張り、ルーフィング、屋根材設置、完了)
葺き替え工事の耐久性や仕上がりの品質は、複数の工程を順序よく進めながら確保します。
1. 工事中の安全を守るために、建物の周囲に足場を組み立てて、養生シートなどの下準備をする
2. 既存屋根材の撤去開始、古い屋根材を丁寧に取り外し、下地の状態を確認する
3. 傷んでいる部分は補修し、必要に応じて下地補修をおこない屋根の骨組みを補強する
4. 雨水の侵入を防ぐコンパネ張り・ルーフィング(防水シート)をおこなう
5. 新屋根材を設置し、雨樋の取り付けや清掃、最終チェックで完了
基本的な工程は上記のようになっています。
工期はどれくらい?天候による遅延についても解説
葺き替え工事の工期は、住宅の大きさや屋根の形状・使用する屋根材によって異なりますが、約2~3週間程度が目安です。
瓦屋根の場合は重量があり施工が複雑なため、スレートや金属屋根よりもやや長めの工期となります。
ただし、雨や強風の日は安全面や施工品質の観点から作業を中止する場合があり、工期が延びる可能性があります。
梅雨や台風シーズンなど天候不順が続く時期は余裕を持ったスケジュール調整が必要です。
工事を依頼する際は、業者と工期の目安や天候による遅延の可能性について事前に確認しておきましょう。
余裕を持ったスケジュールを組めば、工事はスムーズに進み安全で丈夫な屋根を完成させられます。
葺き替え工事で失敗しないための注意点
葺き替え工事は大規模なリフォームであるため、業者選びや工事内容の確認を怠るとトラブルや後悔につながります。
ここからは、失敗を避けるために押さえておきたい注意点や確認事項を解説します。
業者選びのポイントと確認すべきこと
信頼できる業者を選ぶには、施工実績や資格、口コミ評価などをチェックし、屋根工事の経験が豊富な業者を選びましょう。
見積り内容が明確で、工事範囲や使用材料、費用の内訳が詳細に記載されている点も重要です。
契約前には施工方法や工期、保証内容を必ず確認し、書面での提示を求めると、後々のトラブルを防げます。
安心して工事を任せるためには、価格だけでなく、施工品質や対応の丁寧さも含めて総合的に判断するのが大切です。
複数の業者から相見積りを取る重要性
葺き替え工事は高額なため、複数の業者から相見積りを取り比較し、適正価格や工事内容の妥当性を判断しましょう。
同じ条件で見積りを依頼すれば、正確な比較が可能になります。
見積りの内訳が明確であるか、追加費用やオプション工事の有無など、細かい点も比較しましょう。
施工品質やアフターサポートの充実度も確認できるチャンスなので、納得のいく業者選びのためにもおこなうのをおすすめします。
工事保証やアフターサポートについて確認する
施工後の保証やアフターサポートも重要なチェックポイントです。
屋根材の不具合、雨漏りなどが発生した場合に、保証や無償修理が受けられるかどうかを事前に確認しておきましょう。
保証書や契約書で内容が明確になっていれば、後々のトラブルを防げて、何か問題があれば迅速に対応してくれる場合が多いです。
安心して長く住める屋根にするためには、保証やアフターサポートの有無も業者選びの重要な基準となります。
工事中の騒音や振動、雨対策について事前に確認
屋根材の撤去や設置作業などで騒音や振動が発生するため、作業中は近隣に迷惑をかける可能性があります。
近隣への挨拶や作業内容の説明を事前におこなえば、騒音や振動によるトラブルを未然に防げます。
また、高齢者や小さなお子さんが自宅にいる場合、工事の音がストレスに感じるケースも少なくはありません。
作業時間や日程の調整を業者と事前に確認しておき、音が大きくなる撤去時には、外出するなどの工夫も必要です。
雨天時や作業中に雨が降った場合、屋根や室内への水漏れを防ぐために適切な防水シートや養生対策をおこなってくれるかも事前に確認しておきます。
葺き替え工事後のメンテナンスと将来を見据えた選択
長く快適に暮らすためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
ここでは、工事後のメンテナンス方法や耐震性・コストパフォーマンスを考慮した屋根材の選び方について解説します。
葺き替え後のメンテナンス方法と目安
葺き替え工事後も、屋根の寿命を延ばすためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
年に1〜2回の点検では破損やズレ、汚れ・苔の発生などを確認します。
スレート屋根や瓦屋根は苔が発生しやすく、放置すると水はけが悪くなり劣化を早める原因となるため、定期的なメンテナンスや掃除をおこないましょう。
また大雨や台風によって雨樋が詰まったり破損したりすると、雨水の流れが悪くなり、屋根材の劣化や住宅内部へ浸水し雨漏りにつながります。
定期点検のタイミングで専門業者に高圧洗浄や薬剤処理を依頼すると安心です。
耐震性を考慮した軽量な屋根材の選び方
近年は地震対策の観点から、軽量屋根材の人気が高まっています。
瓦屋根は重厚で耐久性が高い一方、重量が建物に負担をかける場合があるため、金属屋根や軽量瓦など、耐震性に優れた素材を選ぶのがポイントです。
築年数が経った木造住宅では、屋根を軽くすれば地震時の倒壊リスクを軽減できます。
長期的なコストパフォーマンスを考える
耐久性の高い材料は初期費用が高額ですが、メンテナンス頻度が少なく寿命が長いため、ランニングコストを抑えられます。
耐用年数・メンテナンス費用・耐震性・断熱性などを総合的に判断し、自宅にマッチするかがポイントです。
ライフプランや住宅の築年数を考慮し、国や自治体の補助金の活用も検討すれば、費用を抑えてリフォームが可能になります。
まとめ
屋根の葺き替え工事は、住宅の寿命を延ばし、家族の暮らしを守るために欠かせない大規模リフォームです。
屋根は常に外にあるので自然環境にさらされていますから、快適な生活にも支障をきたすため、早めに対応しましょう。
業者選びは実績や保証内容を確認し、工事中の騒音・雨対策なども含めて誠実に対応してくれるところを選ぶのが後悔しないポイントです。
屋根の葺き替え工事は、ライフプランや住まいの状況を考えて、じっくり検討しおこなうようにしましょう。